水棲のカメの甲羅干し用の陸地としてよくレンガが使われることがあります
レンガは形が揃っていて使いやすかったり,値段も安かったりと何か問題があるようには見えません
…しかし実はレンガは『甲羅干し用の陸地』として使うには向いているとは言えないんです
今回はニホンイシガメ,クサガメ,ミドリガメなどの水棲のカメの甲羅干し用の陸地としてレンガを使うと何が問題なのか,どうやってその問題を解決すればいいのかを解説していきます
ややこしい内容ではないので水棲ガメの飼育の参考にしていただければと思います
カメ飼育歴20年超えの人間が解説します
レンガを『甲羅干し用の陸地』として使うデメリット
形が揃っているので使いやすかったり,値段も安かったりとなかなか便利なレンガですが…言ってしまえばそれは人間側のメリットです
甲羅干し用の陸地として使うカメ自身にとってはデメリットがあります
レンガはよく水を吸う
これを気にしている人はあまりいない?ような気がしますが…どうなんでしょうか
水を吸わない石(もしかしたら少しくらい吸ってるかもしれませんがその辺はおいておきます)は日光や保温ライトに照らされればしっかり乾きますが,レンガはよく水を吸ってしまうので
- 水に浸かっていると表面が湿る
- 水位が高いと表面が濡れる
水位が高いと上の画像のようにびしょびしょになってしまう場合も
これがレンガを甲羅干し用の陸地として使う場合の一番のデメリットですね
レンガの表面(陸地)が濡れていると…
ではレンガの表面が濡れたり湿ったりしていることの何がダメなのかというと…カメがせっかく甲羅干しをしても全身を乾燥させることが難しいからです
甲羅干しで重要なことのひとつは…
背甲(上の甲羅)だけではありません。全身です。『全身』と言うことは腹甲(下の甲羅)や脚なども含みます
しかし,レンガを甲羅干し用の陸地にしてしまうと表面は湿り,水位が高いと濡れてしまうので腹甲や脚までをしっかり乾かすことは難しくなってしまいます
すでにレンガを甲羅干し用の陸地として使っている場合は触ってみると湿っていることがわかると思います
皮膚も含めた全身をしっかり乾かすことができない状態が続くと言うことは,すぐにではないですが病気になる可能性が高くなってしまうということです
(多少湿っているくらいは大丈夫ですが…やっぱり全身を乾かすことが甲羅干しの目的のひとつなのでなるべく乾いている方がいいです)
成体より病気になりやすい子亀は少しでも病気になる可能性をおさえるためには注意しておいた方がいいでしょう
カメが上陸しにくい
もうひとつのデメリットはただレンガを置くだけではカメが上陸しにくいことです
「はい!陸地!」って感じで(?)レンガをひとつだけドン,と水の中に置いてある水槽を見かけることがありますが…あの硬くて柔軟性のない甲羅で直角のレンガを登るのはそれだとたいへんです
すんなり登ることができるでしょうか?
いや,絶対に上れない…ことはないですが簡単ではありません
その他に陸地をつくる時の注意点についてはこちらの記事を参考にしてみてください
甲羅が傷つく
レンガによっては目が粗くザラザラしているものもあります
レンガを上ったり下りたりする時にはどうしても腹甲をこすってしまうことに。いくらカメの甲羅が固いと言っても目の粗いザラザラしたレンガで上り下りを繰り返していれば甲羅は傷ついてしまいます
酷いとその傷が原因で病気になってしまう場合もあります
レンガを陸地にするなら少し工夫を
レンガを陸地として使うにはいくつかデメリットがあるというわけですが…じゃあレンガは使わない方がいいのかと言うとそんなことはありません
レンガをそのまま陸地として使わないようにすれば問題はなくなります
レンガの上に水を吸わない石などを置く
そのままだと水を吸って湿り,水位が高いと湿るどころかぬれてしまうのがレンガを甲羅干し用の陸地として使う場合の大きな問題点ですが
例えば…
こうすることで陸地が濡れたり湿ったりするのを防ぐことができます
↓この画像にあるようなこんな石(タイミング悪く濡れていますが…時間が経てば乾きます)
レンガだと水位がこんなところまであれば表面がしっかり乾いているということはないでしょう
こんな感じの石を置いてしまえば,甲羅干しをしてるのに腹甲や皮膚の一部がいつまでたってもしっかり乾かない…という状況を防ぐことができます
この石はホームセンターに売っていたもので(この時の値段は¥100) レンガのようにいかにも水を吸いそうな感じでザラザラはしていません
丁度いい石が売っていないようなら,レンガの上に置いてもなるべく不安定にならない形の石を川原で探してもいいかもしれませんね (もし行くなら川なので十分注意を)
まぁ石にこだわらなくてもいいんですが…
↓下の画像のカメが乗っている石は川で拾ってきたものです
これはレンガのように水を吸って表面が湿ることはなくて,こんな感じで保温ライト(日光)に照らされると乾いていきます
レンガはと言うと…水没して『陸地』ではなく『土台』になっています
足場をつくる
レンガの上にしっかりと乾く石などを置いても,それだけだとあの硬い甲羅でレンガの上に登るのがたいへんなことに変わりはありません
少しでも上陸しやすくするために
足場になるものがあるだけで登りやすさはかなり違ってきます。階段みたいなイメージでしょうか
ちょっと爪が引っかかる程度ではなくしっかりとした足場をつくりましょう。↓下の画像のようにレンガを水没させてレンガ自体を足場にしてもいいですね
やっぱりレンガは陸よりも土台に向いています
目の粗いレンガは使わない
甲羅が傷ついてしまうことを避けるにはもうこれしかないかと…
できれば,あまりに目が粗くザラザラしているレンガは陸地の土台としても使うのは控えた方がいいでしょう
まとめ レンガは『土台』に向いている
紹介してきたように「レンガ単体」では甲羅干し用の陸地に最適とは言えないので,使うなら『陸地』としてではなく陸地の『土台』として使うといいでしょう
これがカメ飼育でのレンガの最適な使い方ではないでしょうか
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